「マトイ!」

 「なによー、私だけ悪者にしないでよね。ソヨギだって他の奴だって思ってるでしょ?退屈な学園生活を楽しませるネタが来たって!」

 「ワタシはそんなこと思わないわよ」

 ソヨギと呼ばれた青年は長めの前髪をかき上げた。

 「人の不幸を食い物にするような人間になっちゃだめだ」

 「不幸程楽しいモノはないじゃない」

 言い切ったマトイは少女の肩を撫でた。

 「ねぇ、誰にいつからどんなふうにそんな惨めな傷つけられたのぉ?教えてよ。私達に。じっくり…楽しんで聞くわよぉ」

 「にゃにゃ~…相変わらずマトイちゃんは困ったさんだねぇ」

 ツインテールの女は隣の男子を見上げた。

 「ハリにゃん。メジロはこの話聞きたくにゃいにゃー」

 「僕もいやだな。メジロちゃんと一緒にこの場から離れたいな」

 「こら。そこの二人。逃げない」

 「うにゃにゃ!?マトイせんぴゃいがメジロ達を怒ったよ?!大変だよハリにゃん」

 「そうだね、怒られちゃったね。大人しくここにいようか」

 メジロとハリと呼び合う二人は数歩彼女から離れた。