「…なんなんですか…いきなり…放っておいてください」

 「無理よ。だって私達本当にすごく退屈なんだもの。刺激、刺激が欲しいのよ」

 悪意あるマトイの両腕が彼女の肩を掴んだ。

 「ねぇ。醜い傷それどうやって消すの?相手が憎い?復讐する?しちゃう?ねぇ、教えてよ」

 向けられる言葉全てが気持ち悪く、吐き気を覚えた。

 何一つ隠さない人間の本心が、こんなにも居心地の悪いものだとは知らなかった。

 目を固く瞑れば、声が上がった。

 「マトイってば。失礼なことしないの。怯えてるじゃない」

 「そぉだよぉ!マトイちゃんってば酷い子なんだからぁ!」

 「うにゃにゃ!マトイちゃん、根は良い子なんだけどねー」

 「怯えてるじゃないか、可哀想に」

 「…可哀想なんかじゃない・・・」

 否定の声を上げれば甲高い笑いが聞こえた。

 「ねぇねぇ、惨めな子、どんな気分?どんな気持ち?哀れな子!あはは!初対面の人間にこんなに同情されちゃうなんて!私なら悔しくて死んじゃうかも!あはは!」