引きずられるようにして連れてこられたのは、高等部のある一室。

 微かに中から人の話し声がした。

 これからどうなるのだろうと不安をぬぐえぬまま、押し込まれる様に教室に入った。

 「ねぇ、すごーく面白いものを見つけたわよ」

 収穫を褒めて欲しいと全員の注目を集めるには十分な声を上げたから、皆が彼女に注目した。

 恥ずかしくなり顔を下げれば、その顎を先輩が掴み上げさせる。

 「この子、私に廊下でぶつかってきたのよ。生意気でしょう?」

 「…マトイ、後輩をいじめちゃだめじゃない」

 すかさず入ったヤジにフンッと鼻を鳴らしたマトイと呼ばれた女は、彼女の背中を強めに叩いた。

 「いじめてなんかないわよ。このおバカさんったらね。すごーくおもしろいのよ?みてよ、これ」

 不意に掴まれた右腕、すかさずめくられた長袖の下に注目が集まってしまったのがわかった。

 思わず振りほどき隠すも、沈黙で遅いと悟った。

 「ねぇ、誰にやられたのー?おしえてよ」

 明らかな好奇心に俯けば、非難の声が上がった。

 「ひどいことしないの。ごめんなさいね?」