私は自分の気持ちしか見えてなかったんだ。

罪悪感で顔を覆った。

私はとても愚かだった。


受け取れなかったとしても、加瀬君の気持ちは尊いものに違いないのに。

ちゃんと向き合って、加瀬君に誠実であることが大事だった。

なかったことにして知らなかったことにするなんて、本当に最低だった。

私のこの愚かな行動が加瀬君を必要以上に傷つけてしまったんだ。



「断るなら、きっぱりと。その人が前に進めるように答えてあげることが思いやりだと、私は思ってます」


穏やかななかにも、しっかりとした芯が見える、莉葉ちゃんのまっすぐな瞳に私も、まっすぐでありたいと思った。


莉葉ちゃんはまっすぐで強い子なのだ。
今まで、琥珀にふりまわされてる気弱な子とばかり思っていたけど。

大間違いだったみたい。

思わず、申し訳なさそうに、

「本当に、うちのばかでいいの?莉葉ちゃんならいくらでもいい人いると思うよ?」


莉葉ちゃんに聞いてしまう私。


莉葉ちゃんは笑って、


「私は、琥珀がいいんです。強引で俺様なところもあるけど、いつだって私のためを思ってくれるから。小さいころからずっと琥珀のことだけ見てきましたから」

胸を張って言ってくれて、姉の私までなんだか幸せな気分。


「莉葉ちゃん…ありがとう!将来の妹よ!」


また涙が出ちゃったけど、これは違う涙。
心がうれしくて震えた。