「ねえ、どうしていつもあんな変な格好してんの?」


私の質問にみんな大爆笑。


「だから、言ったじゃんよ。あれだせぇって」

アフロが涙を流しながらのけ反る。


「だって、晴輝が」


陽色の言葉を遮って、


「あれがないと、勉強に集中できないだろ?お前とサッカー早くやりたいのに」


加瀬君が言った言葉がひっかかった。


「サッカー?」

いまいち話が見えて来ず、首をかしげる私を見て加瀬君が陽色の顔を見る。


「乃々夏ちゃんにはいいだろ?」


加瀬君の言葉に、陽色が頷く。


加瀬君の話によると、陽色にはエリートの父がいる。
サッカーばかりしていた陽色に、高校に入ってからのサッカー部入部禁止令を出したらしい。

納得いかないと、言い合いばかりが続いたある日。


「高校の試験で学年1位を取れば許してやる」

お父さんから出された条件がそれだった。

ちなみにその時の陽色の順位は学年で50位。

「それで、なんでこの眼鏡をかけることになったの?」


私はますます疑問に思った。

「モテ防止だよ」

加瀬君はさわやかな笑顔で、得意げに言った。


「どういう・・・」

困惑する私に、

「陽色が日本に帰ってきたら同じ高校でサッカーしようって約束していたんだけど。陽色がそんな状態で俺だけ入部するのも気が引けてね。陽色が入るときにサッカー部に入ろうと思ったんだ。だから、早く1位になってもらわなければならないし、陽色によけいな虫がついて邪魔されないように」

にっこり笑った。


すごい執念。

「そっか・・・」

確かに、眼鏡をかけていないとモテてしまうんだろうな。