縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜

「ちょっと!あんた何やってんの!」

私は理仁に向かって叫んだ。

私のほうを向いた理仁は表情一つ変えないでいる。


何?動揺の一つもしないなんて。

相当な遊び人だわ、これは。主修羅場慣れしすぎでしょ?


「誰だよ」

迷惑そうに顔をしかめて、偉そうな態度。


誰だよ?ふざけるのもいい加減にしろ!

頭に血が上って、私は理仁に向かって早歩きで近づいた。


「理仁!あんただけは絶対許さない。そりゃ在花は見た目は完璧でも中身は変態だよ。でも、在花は一途なの。恋愛においては本当に純粋なの。その在花の心をふみにじってどういうつもりよ」

頭から湯気が出そうなほど興奮した私に、理仁の隣の女は、

「誰?この豆みたいな子」

とけだるそうに言った。

豆だと?


「ねえ、瑠偉」

る、るい?

名前まで変えてるなんて、もう確信犯だな。


「そこのつけまさん。この人、昨日は違う女子とキスしてたから」


私の言葉に、目を見開いて鬼の形相で、理仁に掴みかかった。


「は?昨日違う女と?だから昨日電話に出なかったの?」

これで逃げられまい、ざまあみろだ。


「知らねえよ。ていうか俺は瑠偉。理仁の弟。キスしてたのは頼人(ライト)だろ」

「どういうこと?」

ライト?リヒト?ルイ?

頭の周りを?がグルグル回る。


「頼人と理仁は双子で俺の兄貴だよ」

え?

よく見ると、理仁より幼い?

体つきも華奢だし、身長も少し低い。


「どういうこと?本当なの?それ」

疑う私に、大きくため息をついて、

「めんどくせえな」

スマホを出して誰かに電話して待つこと5分。


「どうしたんだよ、瑠偉。俺、今から在花に・・・あれ?」

同じ顔が3人。


「なんなんだよ、こんなところに呼び出して」

これが昨日見た頼人?


「な?本当だろ?」

そういうと、彼女らしき女の子も納得したらしく、頷いた。