縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜

委員会の後は、クラスに配るプリント数枚をホッチキスで止めていく作業を教室に戻ってすることにした。


静かな教室の中で、加瀬君独り占め・・・他の女子に知れたら靴に画びょう入れられそうだな。


まさか、本当にそんなことが起こるんじゃないよね。

あたりを見渡したけれど、まだ大丈夫そう。


向かいに座る加瀬君の顔を盗み見した。

モテるのわかるなあ、きれいな顔してるもんね。

ホッチキスをにぎる手も、大きい。


加瀬君なら、昨日琥珀が服を着てなかった意味がわかるのかな。

理仁みたいなキスもしたことあるんだろうな。

どんな感じなんだろう。

私もいつか誰かとするのかな。


「昨日のこと、思い出してた?」

ビクッとなる私に、加瀬君はケラケラ笑った。


「乃々夏ちゃんも興味あるんだ?試してみる?」

顔を近づけられて、加瀬君の顔を見た時、加瀬君の瞳には小悪魔が住んでいるんだな・・・って思った。


「誰にでもそんなこと言ってるの?からかわないで」


顔を背けると、


「誰にでも、なわけないじゃん」


そう言って、またホッチキスでプリントを止め始めた。

冗談きつい。

からかわれてるんだな、私は。


顔が熱い。


「顔真っ赤。誰にでも、そんな顔してるの?」

「ちが・・・」


加瀬君の手が私に触れた。


「どうしたの?加瀬君、今日変だよ?」

ドキドキしすぎて、苦しい。