縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜

次の日、愛紗にこの話をすると、


「乃々夏ちゃん、それは・・・その・・・やっぱり私の口からは言えない」


真っ赤になったので、そういう系の話なのかと雰囲気だけはわかった。


「琥珀め・・・なんで弟が先いってんだよ」

くやしがって足をばたつかせてると、


「どうしたの?」


覗き込んできたのは、加瀬君だった。


「え?だからぁ、こは…いや、いやいやなんでもない」


こんなこと男子には言えないわ。

すごいいいタイミングで来るからうっかり言っちゃうとこだったじゃん。


「乃々夏ちゃん、学祭の実行委員だったよね?俺もなんだよ。放課後委員会あるらしいから」


「あ、忘れてた。ありがと」


4月の係決めで、立候補者がいなかった係はくじ引きだったせいで、学祭の実行委員になってしまった。


加瀬君も同じだ。


放課後、加瀬君と委員会に向かう途中。


「昨日、あれから大丈夫だった?」


「う、うん」


色々あったんだけど、知ってるのかな。

「陽色が心配して乃々夏ちゃんについて行ったから。俺は塾だったから途中で別れたんだけど」


「そうなんだ」

加瀬君は話の合間合間でいろんな友達にあいさつしながら歩いていた。もちろん、女の子にも。

加瀬君に手を振った女の子に手を振り返すだけで、女の子たちが悲鳴をあげた。


「加瀬君、すごいね。人気者だよね」


加瀬君はじっと私を見たあと、


「でも、それより好きな子にすかれた方がずっといいけどね」


そうぽつりと言った。


「加瀬君なら大丈夫だよ。優しいし、話しやすいし、かっこいいし」


加瀬君を見ると、少し笑ってほぺったを指で掻いた。