縁〜サイダーと5円玉と君の靴ひも〜

委員長とは普段話すことはほとんどなくて、どんな性格なのかよく知らない。

真面目で物静かで、頭がいいってことだけ。

話をしても面白くなさそうって思ってた。

興味がなかったし、私の中では委員長という肩書でしか記憶してないぐらいだった。

でも・・・
昨日の委員長は私が知らない顔をしていた。

恋をしているんだ。

女の子は恋をするとこんな風になるんだなって、少しいいなって、うらやましいなって思った。


私の知らない世界にいる委員長のことが、すごいイケてる女の子に思えてきた。


恋愛初心者の私だけど、勝手に委員長に越されてるとは思ってなかった。


自己評価、高すぎなのかな…


自分が恥ずかしくて、引っ叩いてやりたい。

思い上がりすぎというか自分をわかってないというか。

反省しよ。


昨日の委員長のあの表情は、きっと藤本先生にしか見せない顔なんだ。


ドキドキする、でもちょっとワクワクする。
秘密の恋を、私が知ってるなんて・・・思ってないんだろうな。

学校に着くと、目は委員長を探してしまってた。


昨日と同じ人物とは思えないほど硬い表情の委員長を発見。


「おはよ」
いつも挨拶もしない私からの挨拶に一瞬戸惑いつつも、

「おはよう」
と、無表情に返してくれた。

昨日のあのかわいい委員長の面影がない・・・


教室に着くと、衣織と目が合った。

すぐ顔を背けられたことに傷つきつつも、ちょっとほっとしてたりする。


「・・・おはよ」

前の席の凛子には一応挨拶したものの、気まずそうに衣織の顔を確認して、聞こえないぐらいの小さな声で、

「・・・うん」

とだけ言った。


その後、気を使ってくれたのか愛紗が来て、

「図書室行くんだけど一緒に行かない?」

と声をかけてくれた。


図書室に行く途中、藤本先生とすれ違った。

美術の先生で、噂によると25歳らしく色白でくせ毛なのかふわふわの少し長めの髪の毛に細い顎。

切れ長の目に高い鼻。

物静かな先生で、雰囲気がある先生だからあまり気軽に近づけないけど。


美術の授業で風景画を描いたとき、

「きれいな青ですね、すごくいいですよ」

と言って笑った顔はすごく優しかったので私は藤本先生をいい先生だって思っていた。


それがあんな風に、女子高生に対して手を握ったりとか・・・いかがわしい!
破廉恥だわ!

って、思うとこなのかもしれないけど。

正直、興味が湧いた。


男の人である先生はどんなふうに委員長を見つめて、どんな声をかけるのか。

どんなふうに触れるのか・・・


先生に興味が湧いたというよりも、委員長のあの表情を見たときに、人にこんな表情をさせる恋が一体どういうものなのかを知りたくなったんだ。