オレンジ色のような灯りを見て、小さいころはどうしてこのお店はいつも夕方なんだろうって思ってた。

夕方の店内には営業の合間に立ち寄ったようなスーツを着たサラリーマン、常連客っぽいおじさんに、個性的なレトロな服装の女の人が一人本を読みながら座っている。


一人若そうな女の人を見つけた。

紺色のノースリーブのワンピースに白いカーディガンを羽織っている。

肩までの髪を耳にかけたとき、露になった横顔に見覚えがあった。


「委員長?」

クラス委員の鈴野このみ。


委員長、渋いな・・・

さすが委員長だわ、と思った次の瞬間向かい側の席に座ったその人の顔を見て身をかがめた。


「え?なんで、藤本先生がここに」

教育指導?

相談事?

個人で会う理由はいくつかある。


でも、そうは思えなかった。


だって、二人はテーブルの下で手をつないでいたから。

この角度だから見えた。

委員長の薬指には指輪が光っていて、学校で見るよりずっと可愛かった。


心臓がドキドキする。
人の秘密を覗いてしまった時、どうして人はテンションが上がるのか…

委員長の先生の話に頷いてキラキラ目を輝かせる姿に、あれは恋だわ…と確信する。

恋をしている顔だ。


5円玉の穴を覗いたときに、委員長が見えたことを思い出した。


え?何が起こるの、次は・・・