「それで、男の子達が優しくしてくれるのが嬉しかった。家では私の話誰も聞いてくれないから…話聞いてくれて嬉しかった。無視される辛さを知っているから…男の子を邪険にすることもできなかった。たぶん…私、淋しくてとても弱かったんだね」


子どものときに読んだ宝石姫の話を思い出していた。


その時の愛紗の口からは宝石がこぼれ落ちているかのように、私は感じた。


「だけど、男の子が望むことがただ話すだけとか友達になるのとは違うの少しわかる時もあったから。私、ちゃんと言わなきゃならなかったんだね。中途半端に期待持たせて…弄んでるって思われても仕方ないね」

伏せ目にして愛紗のまつ毛がキラキラ光ってきれいだなって思いながら見ていた。

「まぁ、そういう奴ばっかりとは限らないけど。これからは気をつけた方がいいかもしらないね」


加瀬晴輝が優しく穏やかな声で語りかけた。


で、なぜ加瀬晴輝と真木陽色が一緒に?

体育の時間のあの2人の行動を思い出す。


「愛紗、家まで送るよ」

私が愛紗に声をかけると、


「俺、送ってくよ。乃々夏ちゃんも女の子だからね。今日は怖い思いもしたし、帰ってゆっくり休んだ方がいいよ」


何?王子様なの?

琥珀に教えてやりたいわ。