近くの公園のベンチに座って、加瀬晴輝が買ってきてくれたお茶を手にしばらく沈黙が続いている。


「愛紗、大丈夫?」

「うん、本当に…ありがとう。まさか乃々夏ちゃんが助けてくれるとは思わなくて」

あ、私やっぱりそういうキャラじゃないのね。

へへっと、ちょっと笑った。


「誰なの?ストーカー?」

「わからないの…ストーカーだったのかな」

何を呑気な…


「愛紗、カン違いさせるような態度とったの?」

だいたい、いつもこの人はそういう感じだけど。


「みんなと同じつもりだったけど…」


自覚ないみたい。

少しため息をついて、

「あのね。正直言うね。愛紗の態度見てると、やっぱり気を持たせてるように思う時、あるよ?女子は…みんなそう思ってあまり良いようには見てないっていうか」

言いづらすぎて言葉が途切れる。


「そっかぁ…うん。そうなっちゃうんだよね」


愛紗は少し鼻をすすって頷いた。


「あ、ごめんね。でも、男子はたぶん期待してる」

フォローにならないフォローをしているバカな私。


「そっかぁ、私、失礼なことをしてたわけだね。あまり考えてなかった」

愛紗は、どうして…そんな曖昧な態度を取るんだろう。


「私、あまり家族に相手にされてなくて。お兄ちゃんとお姉ちゃんが私から見たら完璧過ぎて…私は落ちこぼれなの。家に居場所もないし、かと言って友達作るのも下手で」


愛紗が静かな声で話し始める。