負傷した私が保健室へ向かう途中、


「あれ?どうしたの?」


声がしたほうへ顔を向けると、真木陽色・・・


「あ、鼻血?」


表情が見えないけど絶対笑ってそう・・・さっきの顔を思い出す。


「うん。もういいからあっち行って」

真木陽色のくせに。

私の心を勝手にかき乱すのやめてよね。


顔をそむけると、頭をぐっと押さえつけられた。


「ちょっと!何すんの!」


抵抗しようとすると、かがんでのぞき込む真木陽色と目が合った。


「鼻血出たときは上向いちゃダメだから」

「は、はい・・・」


保健室の先生か?

眼鏡の奥の真木陽色の顔を見たかったけどよく見えなかった。

ただ、意外と瞳はきれいで少しいい匂いがした。

少しだけ、今日在花がアイメイクしてくれててよかった・・・なんてことを思った。