まあ、体育会系ではないよね。

むしろ、あれで機敏に動いたら怖い…


やっぱり、ちょんまげらしき人はいないようだ。

ま、予想通りだけど。


もう戻らないとそろそろやばい。

立ち去ろうとした、その瞬間。


真木陽色にボールが飛んできた。


もちろん真木陽色にパスを出したわけではなく、たまたま間違ってボールが来てしまった感じで。


私は思わず、目を手で覆った。

ああ、よりによって真木陽色のところに来なくても・・・


真木陽色がミスをしてみんなからブーイングor冷ややかな空気が漂うことは一瞬で想像がついた。


自分の目を覆ったその指の隙間から、覗き見ていると。


真木陽色が器用にボールをゴールへと蹴った。


自分の指が邪魔でよく見えなかったけれど、いつもの真木陽色からは想像できない、すごく軽やかな動きで、体の動かし方からサッカー経験者なんじゃないか、そう感じた。


周りも一瞬、驚きで動きが止まった。


幻?

目をこすって、真木陽色を見るとやっぱりいつもの影薄いひょろっと背の高い冴えない男子に戻っていた。


「たまたまだろ」

「焦らすなよ」

みんなが気のせいか、偶然だったんだ…という感じでゲームに戻っていった。