でも…私は屈しないわよ。

後頭部を小突かれ、不敵な笑みを浮かべる私を、不気味なものを見るような顔で琥珀が見ている。


スプーンにのせたプリンを大口でパクリとこれ見よがしに食べた後、

「琥珀。莉葉(りよ)ちゃんに…昨日、綾羽ちゃんと帰ってたの言っちゃうよ?」

カラメルの部分をすくって琥珀を見ると、ひきつった顔で固まってる。

たまらんって表情でプリンを口に入れて大袈裟に味わって見せた。


「乃々夏、どこでそれを…」


青ざめた琥珀の顔。


「あんた達の後ろ歩いてたんですけど。気づかなかったのかなぁ?夢中で…なんなら再現してあげようか?手と手をこんな風に…」


「いやっいい、いい」

私の言葉を遮って、琥珀は小さくため息をついた。

そして自分の分のプリンを差し出して、


「お納め下さい」


深々と頭を下げる。