「いつまで自分に見惚れてんだよ。心配しなくてもいつも通り普通だ」

冷ややかな視線が後頭部を突き刺してくる。

琥珀の言葉がさらに私を刺す。


くっそぉ…


「うるさい!」


あら、返答まで普通だわ。

いや、ふだんはもうちょっといけるはずなんだけど。

動揺?うん、たぶん動揺してるからね。


ちょんまげで脳内一色で、こんな自分の顔を3秒以上眺めてしまうなんて。

まるで恋する乙女じゃないか…


どうしちゃったんだよ、私。


「うう…」

頭を抱えこんで唸り始めた私に、


「お、おい。何だよ、怖いよ」


琥珀は茶化すのも忘れてドン引き。

そんな琥珀に、


「あ、ごめん。私、琥珀にかまってる暇ないから」


急に冷静になる私に琥珀はますます困惑した模様。


トイレから出てきた在花に、琥珀が聞く。


「ねえ、在花。乃々夏、だいぶおかしくね?」


大あくびをしながらも、

「や、いつもでしょ」

即答かよ…


でも、今朝はもうそんなことにもかまってられない。