大きな体育館の中には、バスケットボールやバレーボールの試合をするコートがいくつもあったり、卓球場もあり、ジムもある。


私と在花の運動神経は人並みだけど、弟の琥珀はずっとサッカーをしていて、かなり上手いらしいのだ。


ここには外に大きなグラウンドがあり、サッカーの試合なんかもよくやっている。

琥珀の試合を見に何度かここへ来た。


グラウンドを囲っているフェンスに近づいて覗くとサッカーをしている人たちがいる。


部活とかどこかのチームというより、趣味でしているような雰囲気。

ていうか、ちょっと柄が悪い人たち・・・


髭は生えてるし、ピアス開けまくってる人はいるし、アフロはいるし。


「Hello」

ん?外国人の方まで・・・

バラエティに富んでる集団。


サッカーボールを持ってるってことは、やっぱりサッカーするんだよね?


どきどきしながら見ていると、

「遅えよ」

走ってきたのはうちの制服を着た男子。


え?誰・・・

前髪をちょんまげみたいに結んでる。


「おう、悪い悪い」

目を凝らして見ても見覚えのない顔。


友達に頭くしゃくしゃってされて笑ってる顔に胸がギュってなる。

無邪気な顔。

なんていうか、かわいいじゃん。


グラウンドに走り出してプレイが始まる。

プレイの内容はよくわからないし、上手いとか下手とかもわからないんだけど。

ただ、すごい迫力だった。


さっきまでの緩い空気が嘘のように、真剣な表情。

だけど、すごく楽しそう。

引き込まれるように、私はフェンスの中へ入ってグラウンドに近づいた。


ボールを蹴る音、地面をけるスパイクの音。


キラキラしている瞳、汗。

無邪気にただまっすぐにサッカーを楽しむ顔。


ちょんまげの彼ばかり瞳で追ってしまう。


ゴールを決めて大きなリアクションで喜びを表現して揺れるちょんまげを見ながら、私は胸元をぎゅっと掴んだ。