「5円玉…?」

あの光ようが5円玉の仕業とは思えないんだけど…


他に落ちているものもないし、やっぱりこれなのかな。

疑いながら、そっと拾い上げた。


「普通の…5円玉じゃん」

手のひらの上で軽くひっくり返してみたけど、なんの変哲もない5円玉。


5円玉を空にかざして、小さな穴を覗いた。


「え?」

何度か瞬きをしてもう一度覗いた。


穴の中に誰かいる…


「はい?」


もう一度覗き目を凝らして見ると、そこにいる人物、それは…


「真木…陽色?」


黒縁メガネのガリ勉男子だ。


見渡しても、真木陽色の姿なんかどこにもない。


「どういうこと…よ」

何度も覗いても、そこにはガリ勉、真木陽色がいるばかり。


「何なの…この地味に不思議な5円玉…中に映ってる人まで地味だし」

この、地味に不思議な体験により今日のモヤモヤは吹き飛んでいた。