「乃々夏、顔があほになってるぞ」
琥珀に鞄で頭を小突かれる朝。
いつものプリンを口に入れながら私の朝は始まる。
でも、今日は特別。彼女になって初めての朝。
「これはこれでおいしい」
うんうんと頷きながらプリンを頬張る。
「しかし、ヒーローが本当にヒーローになるとはね」
在花がフィギアに話しかける。
ヒーローか、ほんとだ。
「陽色は私のヒーローだわ」
私がフィギアの代わりに返事をすると、
「脳みそ溶けてんじゃねえの。」
琥珀が鼻で笑った。
「うん、溶けてるかもねぇ」
今日の私は寛大だ。
「だいたい、陽色さんは俺のヒーローだから。乃々夏よりずっと前から」
そうなの?
琥珀がなぜか得意気な顔。
「あ、もう莉葉来てる」
琥珀が慌ただしく出ていく。
しばらくすると、
「乃々夏」
玄関から琥珀が私を呼んでいる。
「なに?また何か忘れたの?」
返事をすると、
「忘れもんじゃねぇ。陽色さん来てるぞ。早くしろ」
琥珀が更に慌ただしい声で玄関から叫んでいる。
「はいはい」
いそいそと出ていくと、靴を履き終えた琥珀が玄関のドアに手をかけて振り返った。
「じゃあな。陽色さんに迷惑かけんじゃねえぞ」
琥珀が偉そうに言ってのける。
「は?大丈夫だし」
口をとがらせて言うと琥珀は鼻で笑って、莉葉ちゃんと手をつないで先に登校して行った。
なんだかんだで、琥珀が莉葉ちゃんのことを大事にしている姿を姉として、心穏やかに見守りながら…ふと上半身裸で出てきたことを思い出した。
ちょっと待って!
二人ってまさか・・・
なんか複雑。
真っ赤な顔でたち尽くしながら二人の後ろ姿を見ていると、
「おーい。どうかした?」
覗き込んできた陽色と、目が合った。
「わっ」
至近距離の陽色。特に破壊力ありすぎ。
これじゃ心臓がもたないよ。
朝からこんな近くで陽色の顔が見られるなんて。
ああ、なんていい朝だ…
「ううん、なんでもない。おはよ」
きょとんとしてる陽色にはとても言えない。
「行こうか」
二人並んで歩き出す。
まだ慣れないから、少しくすぐったい。
周りから見たらちゃんとカップルに見えるのかな…
「ごめんね。わざわざ迎えに来てもらって」
満員電車に一人で乗せられないって陽色が迎えに来てくれることになったけど。
私、普通の代表だからそんな心配いらないのにね。
でも、今はこの幸せをかみしめていたい。
「陽色、今日はメガネしないの?」
「ん?だってもう晴輝がしなくていいって。なんかしてもしなくても一緒だったとかなんか言ってたけど」
メガネしてない陽色に、まだ慣れないな。
なんだか恥ずかしくて、照れくさくて。
陽色と目が会うたびに私の胸は跳ねる。
これが陽色だってみんなわからないだろうな。
素晴らしすぎるこのギャップ。
「陽色、モテちゃうかも。ちょっと心配」
ぼそっとつぶやくと、
「モテないし。乃々夏を心配させるようなことしないから」
まっすぐ私の目を見て話してくれる。
そんな陽色の誠実さが嬉しい。
琥珀に鞄で頭を小突かれる朝。
いつものプリンを口に入れながら私の朝は始まる。
でも、今日は特別。彼女になって初めての朝。
「これはこれでおいしい」
うんうんと頷きながらプリンを頬張る。
「しかし、ヒーローが本当にヒーローになるとはね」
在花がフィギアに話しかける。
ヒーローか、ほんとだ。
「陽色は私のヒーローだわ」
私がフィギアの代わりに返事をすると、
「脳みそ溶けてんじゃねえの。」
琥珀が鼻で笑った。
「うん、溶けてるかもねぇ」
今日の私は寛大だ。
「だいたい、陽色さんは俺のヒーローだから。乃々夏よりずっと前から」
そうなの?
琥珀がなぜか得意気な顔。
「あ、もう莉葉来てる」
琥珀が慌ただしく出ていく。
しばらくすると、
「乃々夏」
玄関から琥珀が私を呼んでいる。
「なに?また何か忘れたの?」
返事をすると、
「忘れもんじゃねぇ。陽色さん来てるぞ。早くしろ」
琥珀が更に慌ただしい声で玄関から叫んでいる。
「はいはい」
いそいそと出ていくと、靴を履き終えた琥珀が玄関のドアに手をかけて振り返った。
「じゃあな。陽色さんに迷惑かけんじゃねえぞ」
琥珀が偉そうに言ってのける。
「は?大丈夫だし」
口をとがらせて言うと琥珀は鼻で笑って、莉葉ちゃんと手をつないで先に登校して行った。
なんだかんだで、琥珀が莉葉ちゃんのことを大事にしている姿を姉として、心穏やかに見守りながら…ふと上半身裸で出てきたことを思い出した。
ちょっと待って!
二人ってまさか・・・
なんか複雑。
真っ赤な顔でたち尽くしながら二人の後ろ姿を見ていると、
「おーい。どうかした?」
覗き込んできた陽色と、目が合った。
「わっ」
至近距離の陽色。特に破壊力ありすぎ。
これじゃ心臓がもたないよ。
朝からこんな近くで陽色の顔が見られるなんて。
ああ、なんていい朝だ…
「ううん、なんでもない。おはよ」
きょとんとしてる陽色にはとても言えない。
「行こうか」
二人並んで歩き出す。
まだ慣れないから、少しくすぐったい。
周りから見たらちゃんとカップルに見えるのかな…
「ごめんね。わざわざ迎えに来てもらって」
満員電車に一人で乗せられないって陽色が迎えに来てくれることになったけど。
私、普通の代表だからそんな心配いらないのにね。
でも、今はこの幸せをかみしめていたい。
「陽色、今日はメガネしないの?」
「ん?だってもう晴輝がしなくていいって。なんかしてもしなくても一緒だったとかなんか言ってたけど」
メガネしてない陽色に、まだ慣れないな。
なんだか恥ずかしくて、照れくさくて。
陽色と目が会うたびに私の胸は跳ねる。
これが陽色だってみんなわからないだろうな。
素晴らしすぎるこのギャップ。
「陽色、モテちゃうかも。ちょっと心配」
ぼそっとつぶやくと、
「モテないし。乃々夏を心配させるようなことしないから」
まっすぐ私の目を見て話してくれる。
そんな陽色の誠実さが嬉しい。