ノラネコだって、夢くらいみる

 自室に入ると、布団をかぶってたくさん泣いた。

 おばあちゃんに気づかれたくなかったから、声を殺して泣いた。

 賛成する人もいれば、反対する人もいる。

 肯定する人もいれば、否定する人もいる。

 世の中そんなもんでしょ?

 わかっていたはずでしょ?

 これまで否定されてきた方がずっと多かった人生じゃない。

 なに、泣いてんのよ。こんなことで、泣いていてどうするの?

 今からこんなんで、この先、やっていけるの?


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 その夜、いちるから電話がかかってきた。

『鈴、今日さ、すごい厚着して撮影したよ。溶けそうだったー』

「おつかれ、いちる」

 冬物ファッションの撮影でもしてきたのかな。

『でも重ね着って好きだなー』

「私も重ね着は好き」

『………どうしたの?』

「なにが?」

『元気ないね』

「………!」

 どうして、気づいてくれるの?

「そんなことないよ」

『平気じゃないでしょ?』

「大丈夫だよ。なんか眠いから、もう寝る」

『だめだよー。鈴が思う、一番可愛い格好して待ってて』

「へ?」

『王子様が迎えに行くから』

「なに言ってんの?」

『お願い。鈴の側にいさせて。ね?』

「………わかった」