ノラネコだって、夢くらいみる

 夏休みに入ると、仕事を本格的に始めるようになった。

 無名の私が人気雑誌の表紙になった。それも、人気上昇中のいちると。

 そのおかげもあって、仕事が舞い込んできた。

 いちるとセットで撮影に挑むこともあれば、一人でオーディションを受けてみることになったり、どんどん取材の予定が入っていったり。

 同時進行で様々な話を進めてくれている逢阪。

 私の芸能生活の第一歩は、恐ろしいほどに上手くいきすぎている。

 聞くところによると、どうやら私の2次元的な雰囲気がウケるらしい。

 チビで貧乳で白くて(血色が悪いって表現の方がしっくりくる気がするのだけれど)、媚びないところがいいとかなんとか。

 飛び込んでくるお仕事は、独特な衣装を着て撮影することが多いし、笑え、なんて注文も来ない。

 めちゃくちゃ派手なものから、黒一色のシックなものまで。

 逢阪のすすめで始めたTwitterは、どんどんフォロワーが増えていった。

 いちるは某人気番組の仕事が入り、その放送の影響でより名前が売れていった。

 そんなこんなで、あっという間にすぎていく、夏休み。