ノラネコだって、夢くらいみる

「鈴ちゃんがこのクラスに友達いないのは、あんたたちに関わらない方がいいって知性を持ち合わせているからよ」

 モモっ!?

 私の背後から聞こえてくる声。

 ………モモがキレた。

「鈴ちゃんのこと侮辱しないでくれる?それに馴れ馴れしく名前で呼ばないで、キモいから」

「なっ……」

「……」

 小田木さんと和泉さんが、顔を真っ赤にして、怒りをあらわにしている。

 豹変したモモの様子を見て、近くにいた男子が目を見開いている。

「あんた……ちょっと可愛いからって、性格歪んでるんじゃないの?」

 小田木さんがモモを睨みつける。

「顔も根性も歪んでるブタに言われたくない。その短いスカート、見苦しい。そんなふっとい足出して、目障り」

「い、行こ!」

 小田木さんと和泉さんが、椅子を持って自分の席へと戻って行く。

「鈴ちゃん、教室戻ってたんだ。なかなか帰ってこないから心配して、トイレに様子見に行ってたんだけど、入れ違いかな?」

「……モモ」

「お腹大丈夫?」

「いいの?あんなこと言って」

「なにが?」

 モモのイメージとか。周りの目とか。なんか、色々。

「ほら。見よ♪CUTEEN!」

 モモと一緒に、机の上に載せた雑誌をみる。

「いちるの記事がいっぱいだぁー!永久保存版だねっ」

 相変わらず年齢は非公開なんだ。

「ミステリアスないちるの素顔に迫る、だって。専属モデルとの対談とか載ってるよ」

「へぇ」

「彼女いないんだって。こんなにカッコイイのに!あれー、表紙の女の子のプロフィール、名前しか載ってない……」

 !?

「アルファベットで、アール、アイ、エヌ」

 R、I、Nっていったら……『りん』!?