ノラネコだって、夢くらいみる

 帰宅して自室のベッドでもう一眠りしようとしたところ、着信が入る。

 ……いちるだ。

『鈴、なんで帰ったの』

 いちるのは、いつも以上におっとりした口調だった。今起きたのかな。
 
「朝がきたから」

『起きていなかったからびっくりしたー』

 私は、起きて隣にあなたがいて驚きました。

『会いたいな』

「……さっきまで一緒にいたし」

『そうなんだけどね。鈴の温もりを思い出して、また、会いたくなっちゃた』

 そんな恥ずかしいことをさらっと言えるあなたは何者ですか。

『また、おいでよ。今度は違うゲームしよ』

「………」

『面白いレースゲームがあってね、そっちなら僕、得意だから』

「負けないよ」

『見たいボラー映画があるんだけど。一人だと怖いから、一緒に見よ』

「……いいよ」

『鈴』

「………なに?」

『好きだよ』

「………!」

『恋なんてしない、とか…言わないで?』

「………まさか、今朝、聞いてた?」

 私と逢阪の話

『うん』

「てっきりいちる、寝てるかと…」

『解除されたんだね』

「なにが?」

『恋愛禁止って条件』

「…………そうみたい」

『鈴、お願いがあるんだけど』

「………なに?」

 

『僕の彼女になってよ』