___数日後
やってきました、定期テスト。
「鈴、どうだった?」
全てのテストを終え、下校中、大地に声をかけられる。
「………撃沈。大地は?」
「満点かな。ケアレスミスしてなければ」
「さすが」
「やっと今日から部活再会だ。じゃーな」
そう嬉しそうに言うと、大地が体育館へ向かった。
と、そこにモモがやってくる。
「鈴ちゃん一緒に帰ろーっ」
モモとは帰る方向がほんの僅(わず)かだけど同じで、校門を出て3つ目の曲がり角までは一緒に帰ることができた。
校舎から数えるとたった2,3分の間しか一緒に帰れないけれど、それでも大地以外の誰かと登下校するという経験がない私にとって、それは特別な時間だった。
本屋手前の交差点、そこが私たちの分かれ道。そこをモモは右折、私は左折する。
ちなみにその交差点は、小学校の校区をも分けている。大地や私は南小で、モモは北小出身。
うちの中学には北小から来る子の方が多いので、クラスメイトの大半は中学で初めて会った子たち。
不思議なもんだよね。こんな境界線一つで、出会ったり、出会わなかったり。
人と人との巡り合わせって、ほんと神秘。
今こうしてモモと一緒にいることも、大地と小さい頃からご近所同士なのも………逢阪と出会ったのも。
全て偶然の積み重ね。そう思うと、不思議でならない。


