「じゃあじゃあ、あれはー?」

 モモが、なにやらファンシーなアトラクションを指さす。

「ソフトクリーム食べたいな」

 マイペースかっ!!

「じゃあ私、あっちで買ってくる。鈴ちゃんといちるは、待ってて」

「いいよ、一緒に行くよ」

「いちるがあそこでじっと並んでたら、また、囲まれるかも。かといって1人で待たせるのも…。鈴ちゃんが一緒にいて」

「でも………」

「大丈夫、3つくらい持てるから。何味がいい?」

「なんでもいいよ」

「オッケー。いちるは?」

「苺」

 おいおい、可愛いな。

「じゃ、行ってくるから。適当にぶらぶらしてて。あまり離れないでね〜」

 そう言うと、モモが売店の方へ歩いて行った。

 モモって、第一印象と全然違う。

 ふわふわしているのに、たまに男の子みたい。エスコートが上手というか。

 いや、ちがうか。女子力が高いってやつなのかな。気配り上手。

 いちると私は、人通り少なめの木陰で待つことにした。

「ねぇ、鈴」

 いちるの声は、小さい。だから、こんな場所だと耳を澄まして聞き取らなきゃならない。

「なに?」

「ライン教えて」

 ………え?

「はやくはやく。こっそりね」

「仕事の連絡なら、月山さん通じてすれば__」

「ちがうよ」

___!

 いちるに、口に人差し指をあてられ、それ以上話せなくなる。

「僕が知りたいの。個人的に」

 ………なんですと?