爽やかな白地のシャツは、少し大きめのサイズを緩く着ていて。

 グレーのチェックのパンツも、ゆったりめ。

 サングラスをかけているのに気づかれるなんて相当オーラあるんだなぁ……。

「しばらく一緒にまわっていい?」

 ………え?

「だ、だめ!」

「いいよぉ!いちる!」

 !?

 モモが隣で、目を輝かせながらオッケーした。

「ありがとう」

 そういってニッコリ笑ういちるの頭の上には、大きな耳が2つ乗っている。

 私の中で、クールでミステリアスといういちるイメージに、とびきりキュートというジャンルが加わった。

 可愛すぎやしませんか。

「いちるーっ、絶叫好き?」

「あんまり」

「何乗りたいー?」

「んー………」

 パークで買ったカチューシャをつけているあたり、それなりに楽しんでるんだとは思うけど、限りなく無気力ないちる。

 あなた、どうしてここにいるの。

 そんないちるに、ひっきりなしに質問攻めなモモ。

 こんなにも会話を続けられるモモの話術は、たいしたものだ。

 いちるを真ん中に、3人並んで歩く私たち。

 チラチラこちらを見る人はいるけど、連れがいるからか、さっきみたいに囲まれない。

 たまに女の子に話しかけられ、握手を求められるとそれにクールにこたえていた。

 もしやいちる、私たちを利用して、ファンを撒(ま)いたな……?