ノラネコだって、夢くらいみる

 乗る前にまず列に並んで待つ、その時間が、まさに恐怖。

 まるで地獄への階段を、ゆっくりと、一歩一歩進んで行くような感覚。

 その先にはもう、絶望しかない。

 これに乗ってしまったら、生きて帰れない気さえして。

 鈴、行っきまぁぁぁす………!!

 ……………

 …………

「どう?楽しかったでしょ?」

「………うん」

「もっかい乗る?」

 そのモモの問いかけに、勢い良く頭を縦にふる私。

 乗ってみると、なかなかに爽快だった。

 胃の浮く感じ、と言えば伝わるだろうか。

 さ……最高だ!これ!!

「鈴ちゃん、実は、ただの食わず嫌いだったりして」

「え?」

「乗る前から、〝これは怖いだけの乗り物〟なんて決めつけてたんじゃない?」

 …………!

 たしかに。私、イメージでものを見ていたかもしれない。

「チャレンジ精神って大切だよねー」

 うん。そうだね、モモ。

「日下くんのこと、デートに誘ってみようかな。女の子から誘うって引かれるかな」

「………やってみないと、わからないんじゃない?」

「ほんと?じゃあ、誘ってみようかな!」

 そのあと2回目の絶叫マシーンから降りてきた直後、モモが何かに気づいた。

「あそこ、人だかりできてるね」

 本当だ。モモが指さしたその先、メリーゴーランド手前に、中高生くらいの女の子が集まっている。