それから、私はモモと連絡先を交換して、教室へ戻った。
このクラスで私に話しかけてくる者はいない。
あの日、逢阪の車に乗り込んだところを目撃した人が、この中にいるかもしれない。
だけど、直接そのことについて聞いて来たのは、モモくらい。
あと、大地。
大地には、事情は話せないが、あの男にはお世話になっているということだけ伝えておいた。
**
授業後、掃除の時間、スマホに着信が入る。
私は一人、講義室を掃除していた。他の子は、サボってどこかへ行ってしまったから。
『学校終わったか?』
逢阪。
「掃除中だけど」
『手短に話す。これからそっちに迎えをやるから、その車に乗れ』
「え?今日、お仕事あるんですか?」
『都合悪いのか?』
「いえ……」
むしろ金曜日だから、都合がいい。多少疲れても、翌日に困るようなことはない。
『リラックスしてのぞめ。……と言いたいところだが、結構無茶言ったから、お行儀よくしてくれ。絶対に噛み付くなよ。俺もあとから行く』
………私は猛犬か。
私は掃除を終え教室へ戻ると、皆が窓の外を見ている。
うちの教室からは、校門が見える……。
嫌な予感がした。
「車とまってるね。なんだろう」
「珍しいね」
まさか……
先生の挨拶が終わり、解散すると、一目散に校門を目指した。
途中廊下で大地やモモとすれ違ったけれど、バイバイ、とだけ言うと私は走って行った。
このクラスで私に話しかけてくる者はいない。
あの日、逢阪の車に乗り込んだところを目撃した人が、この中にいるかもしれない。
だけど、直接そのことについて聞いて来たのは、モモくらい。
あと、大地。
大地には、事情は話せないが、あの男にはお世話になっているということだけ伝えておいた。
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授業後、掃除の時間、スマホに着信が入る。
私は一人、講義室を掃除していた。他の子は、サボってどこかへ行ってしまったから。
『学校終わったか?』
逢阪。
「掃除中だけど」
『手短に話す。これからそっちに迎えをやるから、その車に乗れ』
「え?今日、お仕事あるんですか?」
『都合悪いのか?』
「いえ……」
むしろ金曜日だから、都合がいい。多少疲れても、翌日に困るようなことはない。
『リラックスしてのぞめ。……と言いたいところだが、結構無茶言ったから、お行儀よくしてくれ。絶対に噛み付くなよ。俺もあとから行く』
………私は猛犬か。
私は掃除を終え教室へ戻ると、皆が窓の外を見ている。
うちの教室からは、校門が見える……。
嫌な予感がした。
「車とまってるね。なんだろう」
「珍しいね」
まさか……
先生の挨拶が終わり、解散すると、一目散に校門を目指した。
途中廊下で大地やモモとすれ違ったけれど、バイバイ、とだけ言うと私は走って行った。


