この選択は、間違いなく私の〝意志〟だ。

 そう気づいてしまうと、もう、胸の高鳴りを抑えることができなかった。

 〝3日以内〟なんて言われたけど。

 駆け足で部屋に向かい、逢阪の名刺を机の引き出しから取り出すと、スマホを手に取り、震える指で番号をタップする。

 …………心臓が、破裂しそう。

『もしもし』

 3コール目で、逢阪が電話に出た。

「……私っ」

『どこの誰?』

 いじわる。

「黒川鈴よっ……あ、あなた、私の家にあがりこんでたの?」

『大切なお孫さんをうちで面倒みさせてもらうんだ。直接頭下げるくらいの誠意、当然だろ?』

「………!」

『で、なんだ?早速、俺の声が聞きたくなったのか?』

「バカ言わないで」

『なら、用件を聞こう』

「………今、どこにいるの?運転中じゃないでしょうね」

『着替えもせずに、電話してくるとは。相当俺が恋しかったとみた』
 
「……?」

 まさか、と思って窓の外をのぞいてみると__

 そこには見覚えのある黒の外車が停まっているではないか。

 その脇に立つ男が、タバコをふかしている。……逢阪だ。

「帰ってなかったの?」

『今日は休め、黒猫』

「黒猫じゃない、黒川だっ……!」

『これからよろしく』


「………!こちらこそっ…よろしく……お願いします」