ノラネコだって、夢くらいみる

 逢阪が……私のことを?

「親バカって思われるかもしれないけどね。おじいちゃんもおばあちゃんも、鈴ちゃんが可愛くって、仕方ないのよ」

___!!

「ねぇ、鈴ちゃん。あなた、昔から私たちに気を使ってばかりいるでしょ」

 私が?

「わがままの一つ、言ってこないじゃない。限られたお小遣いで、欲しいものを買っているみたいだけど。あれがやりたい、これが欲しいって、言われたことないもの」

「鈴の、正直な気持ちを、わしたちに聞かせて欲しい」

 ………私の、正直な気持ち?



 〝私には無理〟

 そう言って、色んなことを諦めてきた。

 友達を作るのも。勉強も。笑顔だって。

 性格的なものだと思う。

 逢阪に言われた通り、昔から、自分に自信がない。

 だって……そうでしょ。

 ついさっきまで、私、おじいちゃんとおばあちゃんに愛されている自信すらなかった。

 ただ両親を亡くした可哀想な私を、同情で面倒みてくれているのだとばかり、思っていた。

 そんな2人に迷惑をかけないようにって、思ってきた。

 だから気を使っている、なんて感じられてしまったのかもしれない。

___だけど、違った。

 可愛くて仕方ない、なんて……そんな風に思ってくれていたの?

 ごめん、私……

「鈴がやりたいというなら、その時は、契約書に判を押そう。レッスンにお金がかかるとか、そういうことは、気にせんでいい」

___!

 今、気づいた。ダイニングテーブルの上に置かれた紙。