ノラネコだって、夢くらいみる

 私は、祖父母と暮らしている。逢阪……一体どこまで調査済みなの?

「ただいま」

 おじいちゃんもおばあちゃんも、リビングにいた。

「りんちゃん、お帰り」

 おばあちゃんがにっこり答える。

「お帰り、鈴」

 と、おじいちゃん。

「……逢阪さんと一緒だったのか?」

 !?

 私が驚いて何も言えないでいると、おじいちゃんが補足するようにこう言った。

「さっき、そこの窓から見えたんだ。鈴が逢阪さんと話しているところが」

 …………ちょっと、待って。

「おじいちゃん、逢阪……さんと知り合いなの?」

 すると、おばあちゃんが申し訳なさそうな顔をする。

「ごめんね、鈴ちゃん。学校へ行っている間に、あの方は、うちに毎日こられてね。だけど帰ってもらっていたの」

 え??

「おばあちゃん、逢阪さんって人の言っていること信じられなかったの」

「……何を言われたの?」

「鈴ちゃんを、自分の会社で育てたいって頼まれたのよ」

___!!

 あの男、勝手にうちにあがりこんでなんてこと……!!

「逢阪さんはわしの会社にまで頭を下げてきてな」

 はぁ……?

「そこで、うちの社長が逢坂さんをご存知だったんだよ。褒めておられたよ、逢阪さんはお若いのに実力も人望もあると」

 ………

「それでね、りんちゃん。おばあちゃんとおじいちゃんで話し合って、決めたの」

 何を?

「りんちゃんがしたいなら、私たちは、応援しようって」

 …………え?