ノラネコだって、夢くらいみる


「さて、着いた」


 車は、どこかの地下駐車場にとまる。

 ………ここ、どこ?

「どうした。怖じ気づいたか」

 今更引返そうなどとは思わない。

「別にっ……」

「なら、行こうか。社会科見学の時間だ」

 私は、早足で歩く逢阪に着いて行った。

 心臓がバクバク。こんなの、初めて。

 建物の中に入り、たどり着いたそこで見たもの。

 それは___撮影スタジオだった。

 今まさにプロのカメラマンに写真を撮られているのは、一人の男の子。

 年は私くらいかもしれないし、もう少し上かもしれない。

 中性的な顔立ちをしていて色が白くて、細くて背のすらっと高い美男子。

 染められていないナチュラルな髪色が、無垢な少年を連想させる。

 とても眩しい光に照らされた彼を多くのスタッフが見守る中、その全てに答えるように、彼はシャッターに合わせてポーズをとっていた。

 そんな彼に私は、見とれてしまった。

 と、そこに誰かやってきて。

「あら、たっちゃん」