「わかった」

「いい子だ」

「別に、あなたのためじゃないから」

　言われなくても、恋愛なんてするつもりない。恋人はいらない。

　誰かを想って胸がドキドキ、なんてキャラでもない。

　そんなの、あなたのその千里眼で見ればわかるでしょ？

「どうして会いに来たのっ…」

　あの日、あなたは言った。『気が向いたら連絡しろ』って。

　私、してない。一度たりとも。

　あなたは私のことなんて忘れてしまっただろうし、それでいいって、この一週間思ってきたんだ。

　なのに………どうして………

「お前、さっき〝中学生の貴重な時間〟なんて言ったなぁ。なら俺も言わせてもらう。俺だって、今この瞬間が、とても貴重だ」

「………？」

「儲け話は次々来る。遊んでる暇なんてない。時間はいくらあっても足りない。なのにお前に会いにきた。その意味がわかるか？」

　………わかるわけない。

「ビジネスだよ。それ以外に何がある？」

＿＿＿！

「どうした？驚いた顔して……ガッカリか？てっきり自分に惚れられたとでも思った？」

「そんなことっ……思ってない」