ノラネコだって、夢くらいみる

「昔、まだ俺が子供だった頃」

「?」

「ある人に人生を狂わされた」

「………??」

「その人は、勉強して良い学校に入って親の用意した道を歩くだけの俺に、世の中には色んなことがあるって教えてくれた」

「………」

「それで俺も思った。もし今自分がどう生きるかわからないやつや、将来に迷いのあるやつがいたら、自分がしてもらったように何かできたらなって」

 それで、会社を立ち上げたのかな。

「迷える黒猫が放っておけなかった」

「………」

「いちるもそうだけど。可能性を秘めてるのに、それに気づいてすらないお前らに、なにかきっかけが与えられたらなって思った」

「鬼みたいだけど」

「どこが?」

 自覚ないんですか。