ノラネコだって、夢くらいみる

「俺、鈴のこと好きじゃん?」

「え?」

「なのに恋愛経験ゼロじゃん」

「や、えっと……」

 大地が顔を真っ赤にさせるので、つられてこっちまで赤くなる。

「それで百瀬に『鈴ちゃんのかわりに練習相手になってあげる』なんて言われて、それに便乗させてもらったというか……」

 モモ、そんな言い方したの?

「じゃあ、モモのことは女の子として見てなかったの?」

「ああ」

「ちょっとも?」

「百瀬にキスしながら、鈴のこと考えてた」

「はぁ!?」

「あー、今の忘れて」

「……バカなの!?」

「我ながらバカだと思う」

「キス以上のこともしたの?」

「それはない。さすがに。キスだって1度、放課後教室で、軽くしただけ」

「へぇ……って、え、教室で?この部屋じゃなくて?」

「え?さすがに部屋には入れないよ」

「そうなの?」

「鈴だけだよ。ここに入った女子」

「えぇっ………」

 モモの噓つき。何から何まで、誤解をまねくような言い方ばっかりして。

「勝手かもしれないけど、大地とは、この先も、ずっと繋がっていたいな」

「なんだよ、今更。当たり前だろ」

 かけがえのない……たった1人の幼なじみ。