ノラネコだって、夢くらいみる

 着替えて部屋に戻ると、大地がアルバムを見ていた。

「勝手に見るなっ…!」

「わり。でも、可愛いなー。ちっこい鈴」

「ごめんね。全然連絡しなくて」

「俺こそ。……ずっと後悔してた」

「え?」

「お前の夢、ちゃんと応援してやれなくって」

「…………!」

 大地は中学の頃、私に言った。

 モデルの仕事を始めたばかりの私に「やめちまえ」って……。

「俺、嫌だったんだ。お前が大勢に見られるのも、人気者になるのも」

「……心配してくれてたんだよね。面白おかしくはやしたてられることとか」

 実際、学校で一悶着(ひともんちゃく)あったし。それに一般人の大地まで、巻き込んでしまったのは今でも申し訳ないと思う。

「鈴がみんなのものになるみたいで、嫌だった。ほんと俺、器の小さいやつだよな。すげー後悔した。最初から応援するべきだったって」

「大地………」

「ごめんな。向いてないとか言ったの、全部本心なんかじゃない。酷いこと言って、本当にごめん」