ノラネコだって、夢くらいみる

　さっき見た、あんなに小さな赤ん坊を自分の手で大切に育てていくなんて、私にはまだ想像もできない。

　同じ年のモモがすっかりお母さんの顔になっているのには本当に驚いた。

「押しつけがましく聞こえてしまうかもしれないけどね。鈴ちゃんを身ごもったのは、きっと、鈴音が欲しいって強く願ったから、鈴ちゃんは鈴音のところへやってきたんだと思うのね」

　おばあちゃんの言葉が私の心に響く。

「だから、神様が鈴音と鈴ちゃん、鈴ちゃんとおじいちゃんおばあちゃんを巡り合わせてくれたことには、感謝してもしきれないわ」

　おばあちゃん………

「あなたは、みんなに祝福されて産まれてきたの。愛しくて仕方ないの」

「………ありがとう」

「こちらこそ、本当に、産まれてきてくれてありがとうね。鈴ちゃん」

　涙で前が見えなくなり、おばあちゃんに差し出されたハンカチがびしょびしょになるまで、とどまることがなかった。