ノラネコだって、夢くらいみる

 少しだけ赤ちゃんの顔を見せてもらえることになって、見せてもらう。

 しわくちゃで、こんなこと言ったら怒られてしまいそうだけど、小猿みたいな感じ。

 だけど、めちゃくちゃ可愛い。

「高明……ちょっと、外してもらえるかな?」

 モモがそう言うと、モモの旦那さんが部屋を出て行く。

「鈴ちゃん、今日は、ほんとありがとう」

「………いいよ。当然のことしただけ」

「鈴ちゃんは、昔からそうだよね」

「なにが?」

「ムカつくくらい、いい子」

「恩人にムカつくってどういうことよ」

「見てたよ。鈴ちゃんの活躍」

 ………は?

「鈴ちゃんが転校しちゃったの、私のせいだよね。ごめんね」

 タイミング良く、看護師さんが、赤ちゃんをどこかに連れて行った。

「いいよ、今更。謝られても、許す気になんてなれないし……それに、あの学校には元々、私の居場所なんてなかったから」

「そんなことない。鈴ちゃんの活躍見て応援してる子もいたし。一番気にしてたのは日下くんだけど」

 大地………!

「連絡とってる?日下くんと」

「……あんまり」

「会ってあげて。お願い」

「なんでモモにそんなこと言われなきゃならないの?」

「おせっかいでも何でもいい。だけど、それが私の願い」