ノラネコだって、夢くらいみる

「2年の教室だけだった」

___!

 大地が、うちのクラスに飛び込んできた。

「え?」

「1年と3年のとこ見てきたけど、なかった」

 大地、わざわざ確認しに行ってくれたの……?

「誰だよ、こんなことしたの。お前か?それとも……前か?」

 私を取り囲む小田木さんら数人の胸ぐらを荒っぽく掴んで、次々に問いつめる大地。

「ち、違う……!」

「私たちが来た時には、もう貼ってあった」

「お前ら、こんなもの鵜呑みにしたわけ?勝手なこと言って騒ぎ立てんな」

「わ、わかった」

「ごめん……」

 大地に迫られて、半泣きの小田木さんと和泉さん。

「なにごとだ?」

 担任が、教室に入ってくる。

 女子を睨みつける大地、そんな大地に泣き出してしまいそうな女子2人。

 ただ事じゃないのは、見ればすぐわかる。だからと言って、ケガ人がいるわけでもない。

 そんな生徒たちのもめ事に、担任が介入してくることはなかった。

「全校集会があるから、速やかに体育館に向かえよ」

 その一言で、大地が教室から出て行った。

「待って!」

 私は、大地を追いかけた。

「どうして?」

 大地は、私の問いかけで立ち止まり、こちらを見ずに静かに言った。

「なにが」

「私のやってること……よく思ってくれてないんだよね」

 てっきり、嫌われちゃったかと……。もう、仲良くはできないのだろうと思っていた。

 なのに、こんな、助けてくれるようなこと……