どうして直感というものは、悪いものであればあるほど、当たってしまうものなのか。

 『そこ、どいて』というまでもなく、私が黒板に近づくと側にいた人たちが通路をあけるように、私を避けて行く。

 黒板には、なにやら掲示物が貼ってある。そして、何枚かの写真。

 〝いちる、熱愛発覚!!〟

 〝RINの正体は根クラの黒川鈴!!〟

 〝ビッチ〟 〝二股〟

 〝黒川鈴に制裁を!!〟


___!?



 新聞の切り抜きのような文字で形成された、悪趣味な怪文書。

 写真は、いちると私のツーショット。それから、私と大地のツーショット。

 いずれも………隠し撮りだ。

「うそー?」

「黒川鈴がいちると熱愛、とか信じらんない!」

「でも写真あるよね。合成…にしてはリアルじゃない?」

「前にいちるの所属する会社の社長、この学校に来てたよねぇ〜」

「じゃあ、やっぱこれ、本物?」

「日下くんといちる二股とか、何様?」

 私の方を見てそんな罵倒を浴びせてくるのは、主に小田木さんと和泉さん。

 この2人は私のことを元々よく思っていない。加えて夏休み前、モモに〝ブタ〟呼ばわりされ、それを根にもっていそう。

 その2人が中心になっている女子5人グループが次々にそんなことを言ってくる。