「勝手に話を進めないでくれ。彼女は絶対に譲らない。二度と薫さんに近づくな!」
威勢良く言い放ったけれど、まるで犬が怯えながら威嚇するかのような表情で、しかも言い終わるやいなや、取締役の返事も聞かずに逃げるように駆け出し、そして今に至る。
到着したエレベーターに乗り込んだ後も、成瀬は溜息と共に「厄介なことになった……」と呟いている。
本気で悩んでいる成瀬には悪いと思ったけれど、私はなぜだか笑いがこみ上げてきた。
「あはは、なんで悩んでいるのよ。あんなの私がYESを言わなければ話が進むわけもないのに」
「でも怜司さんは絶対に狙った獲物を逃さないタイプだよ? どんな手を使ってくるか」
「バカね、どんな手を使われても何をされても私はあんた以外の誰も選ばない。春人じゃないと私にとっては価値はない」
きっぱりと言い切った途端、成瀬は目を見開いて私を見つめ、それからサッと頬を染めた。
「……?」
何か変なことを言ってしまっただろうかと首を傾ける私の頭に、成瀬は大きな手を乗せた。
「そんなストレートな愛の告白……嬉しすぎるんですけど。つか先輩、初めてですよね、そんなこと言ってくれるの」
「はあ? 何が愛の告白よ。こっぱずかしいこと言ってるんじゃないわ――」
と、そこまで言って、自分が成瀬に言った言葉を思い返してハッとする。
威勢良く言い放ったけれど、まるで犬が怯えながら威嚇するかのような表情で、しかも言い終わるやいなや、取締役の返事も聞かずに逃げるように駆け出し、そして今に至る。
到着したエレベーターに乗り込んだ後も、成瀬は溜息と共に「厄介なことになった……」と呟いている。
本気で悩んでいる成瀬には悪いと思ったけれど、私はなぜだか笑いがこみ上げてきた。
「あはは、なんで悩んでいるのよ。あんなの私がYESを言わなければ話が進むわけもないのに」
「でも怜司さんは絶対に狙った獲物を逃さないタイプだよ? どんな手を使ってくるか」
「バカね、どんな手を使われても何をされても私はあんた以外の誰も選ばない。春人じゃないと私にとっては価値はない」
きっぱりと言い切った途端、成瀬は目を見開いて私を見つめ、それからサッと頬を染めた。
「……?」
何か変なことを言ってしまっただろうかと首を傾ける私の頭に、成瀬は大きな手を乗せた。
「そんなストレートな愛の告白……嬉しすぎるんですけど。つか先輩、初めてですよね、そんなこと言ってくれるの」
「はあ? 何が愛の告白よ。こっぱずかしいこと言ってるんじゃないわ――」
と、そこまで言って、自分が成瀬に言った言葉を思い返してハッとする。

