「あいつら…どこ行きやがった」


一時間が過ぎ、店を出てキョロキョロと見回す顕奘さん。


「ほら、顕奘さん、行きますよ??お食事しません??」


腕を絡ませて密着する七海先生。少し嫌がって放そうとするけれど、ぎゅうっと締めて放さない。



エスカレーターで上の階に上がる。最上階が映画館で、その下がフードコートや、飲食店だ。


あからさまに苛立ち始める顕奘さん。


「落ち着きましょうよ、ね??」


「落ち着いてなんかいられません!!離れてもらえませんか!?」


「おーい!!」


向こうの通路にいる七海先生と顕奘さんに手を振る七海くん。


その七海くんに横から抱き付いて目の前でキスをする。


「お、お前…!!お前何して…!?」


「僕たちはこれで」


「七海くんと行きますから、先生、お幸せに!!」


「な………!?」


立ち尽くし、言葉をなくす顕奘さん。
慌てて連絡通路を探すけれど、ない場所を選んだので随分遠い。


「クソッ!!」


近そうな連絡橋を見つけて走る。けれど、そのまま手を引かれ逆に走って逃げる。エスカレーターを駆け降りて、外に出てしまった。