「バカ野郎!!何やってんだ!!」


怒鳴り声に、ビクッと身を縮めた。


「その程度なら、まだまだ試合には出せないな、やる気ないんなら邪魔だから出ていけ!!」


「すっ!!すいません!!」


「いいから頭冷やしてこい!!」


「…すいません……」


言うと、泣きそうになりながら、外に出た。
言葉が胸に刺さった。けれどこんなところでは泣けない。


他の部活と分けて、体育館と並んで小さな道場があり、脇にある水飲み場で顔を洗う。


最悪だ。稽古中に追い出されるなんて。


ふと、顔を上げた私の視界に、一人の女教師がいた。


新任の、七海(ナツミ)先生、だったかな。


まだ教師になりたてらしい七海先生は、瞳はつぶらな、けれと顔が小さく、背中まで伸びた猫っ毛の、スリムですごく綺麗な大人の女性だ。


大人しそうで頼りなさ気な先生は、赴任早々男子の話題を独り占めしていた。


一組の副担任で受け持ちは国語だったかな。


こんなところで、何してるんだろう。