「な、何か変わった人だね…」


聖ちゃんは少しほっとした様子だ。いつ殴られるんじゃないかと、びくびくしていたようだった。


ふと、店を出た奴が、待ち合わせしていたらしい女の人が現れた。腕を絡ませ、親しげに。


腰まである艶々の黒髪ストレート。スタイルも抜群で、横顔だけでも美人は一目瞭然だ。


何だか無性に腹が立ってきた。


あんな奴のために、10年も無駄にしたのか。


いや、誰のためともなく、努力はしたのだから決して無駄とは言えないけれど。


でも!!私にとっては、全て奴のためにしてきたことだ。


どんな想いで10年、待ったと思ってるのよ!?どんな想いで……。また会えるってわかったとき、どれだけ嬉しかったと思ってるのよ!?


不意に、奴が彼女と二人きりで将来のことなんかを楽しそうに話している姿が浮かんで、胸が張り裂ける感覚に襲われた。


――これは、嫉妬なんだろうか??