『やーいやーい、泣き虫、弱虫』 『やーい、ぶーす、チービ』 小学校低学年の男の子数人に囲まれて、まだ小さな私は泣きじゃくっている。 『こら!またお前らか!女の子泣かしてんじゃねえ!!』 ふと、顔を上げると、そこには大好きなお兄ちゃんの顔があった。 『逃げろ!!』 一目散に逃げる男の子たち。 『もう泣くな、大丈夫だから』 お兄ちゃんはしゃがんで、優しい声で優しい手で、私の頭を撫でてくれた。 ――優しい笑顔。いつもの光景。