「俺ら二年のメンバーはずっと一緒にいたんだけど。陽空が朝から機嫌悪くてさあ。最初は何事かと思ったけど…しかも、華乃ちゃんの悲鳴が聞こえたら血相変えて飛んで行くし。
今思えば、あれずげえ面白くて…」

翔太先輩はお腹を押さえてケラケラと笑いだした。

人が酷い目にあったっていうのに、なんて能天気な人なんだ。

あたしが呆れを通り越して尊敬し始めた時、ヒナタをチラリと見やると凄い形相で翔太先輩を睨んでいた。


「翔太、黙れ」

「はっはっは…っいて!!すまんすまん!」

翔太先輩はヒナタに結構な力で頭を叩かれたのにも関わらず、まだヘラヘラと笑っている。

これも二人の仲の良さの証なのかな。


それにしてもいい音がなったなあ。


あの日のあの後。

ヒナタは、ずびずびと鼻水を啜るあたしに「鼻水つけなんなよ」と雰囲気をぶち壊すふざけたことを抜かした。

弱っているあたしに対しても少し時間が経てば、性悪に戻ってしまうらしい。

全く悲しい話だ。