「あら、結衣おはよう。」


『おはようじゃないよ!お母さん、どうして起こしてくれなかったの?』


「何回も呼んだわよ。でも結衣起きなかったじゃない。」


う…

そう言われると言い返せない。

確かに誰かに名前を呼ばれた記憶はあるけど、夢の中の話だと思ってたよ。




用意されていたパンを食べて歯を磨いて髪の毛をセットして、新作のリップクリームもちょっと塗ってみたりして…





『行ってきます!』

私は玄関のドアを開けた。


後ろから

「結衣ったら張り切っちゃって。」
っと笑うお母さんの声がしたけど気にしない。



だって今日から私、達海 結衣(たつみ ゆい)は高校生になるんだから!

楽しみだけど正直少し不安もある高校生活





『会えるかなぁ…』

私は誰にも聞こえないように呟くと鞄につけた少し色あせたストラップをそっと握り締めた。