「………。」
無言で教室中に目を配る。
三十席あるうちの十七席は既に埋まっていた。
新しいクラスの仲間と喋っている者もいれば、一人で読書をしたり空想にふけっている者もいる。
クラス替え直後にしては珍しく、友達と同じクラスになれて喜んでいる人はあまり見受けられない。
取り敢えず見知った顔はあまりない。
座席に座り、大人しくしていようと決めた次の瞬間。
「ホープ!」
「うわっ!?」
突然誰かに突き飛ばされた。勢い余って教卓にぶち当たる。
「いてて…。」
「おいホープー。ちょっと押しただけでぶっ飛ぶなんて弱っちすぎるぞー。
その場で腹筋、五十回!」
「うぅ…いてて。
急に、しかも背後からこられたら受け身なんて取れないよー」
にへら、と笑いかけてくるのはホープの数少ない友人の一人、バルト・インペンスだ。