【短】ねぇ、こっち向いて。






「つまらなくないんですか?」


「つまんないわけないじゃん」




手を止めて聞いてきた進藤くんに、あたしはすぐ答える。



好きな人との時間を退屈に思えるわけない。


ずっとこの時間が続いて欲しいくらい、あたしにとって特別なんだ。


もっと一緒にいたい。そんな気持ちが、ふわりふわりと風船みたいに舞い上がっていくみたい。




「どうしてですか?」


「え……?」



じっとあたしを捉える進藤くんの瞳。


う、わ……。こんなに間近で見つめられたのなんて初めてで、心臓がうるさい。




「な、何が?」


「普通はつまらないでしょ?他人が勉強しているところを見るだけなんて」