でも、君はあたしのことなんて全く知らない。


あたしは毎日のように君を目で追っているのに、一度だって視線は重ならない。



こっちを向いて欲しくて、名前を呼んで欲しくて、クラスメイトという関係だけじゃ物足りなくて。


あたしは、少しだけ悪い子になった。



髪の毛を染めたり、スカートを短くしたり、メイクをしたり、ピアス風のイヤリングをつけてみたり……。


できるだけ毎日、風紀強化週間の間は特にわかりやすく、あたしは一箇所か二箇所だけ校則違反をする。




ただただ君に、あたしのことを見て欲しくて。


あたしはちっぽけな“イタズラ”を繰り返す。







――昼休み、昼食を食べ終えたあたしはたまたま図書室へ向かう進藤くんを見つけて声をかけてみた。




「進藤くんっ」


「……なんですか、永井さん」